続・危険なアイツと同居生活
「ドラムも実力者だ」
賢一……いや、玄が言う。
いつものおちゃらけた賢一とは違い、ひたすらクールだ。
「ただ、時々リズムがズレる。
基礎を大切に」
そう言いつつも、Lから見えないように後ろで足に水虫クリームを塗っている。
蒼が碧の顔をしながら賢一を叩く。
すると、賢一もドヤ顔をしながら蒼を叩き返した。
優弥さんがそれを見て、殺気に満ちた睨みを効かせる。
それで二人は飛び上がり、おとなしくなった。
そんなやり取りが楽しい。
本当にFが解散しなくて良かったよ。
「ベースは主張しすぎだ。
演奏自体は上手いけど。
全体的に抑え、ソロで思いっきりやるといい」
慎吾……いや、酙は俯いたまま低い声で話す。
そんな酙を、啓介は目を輝かせて見ていた。