続・危険なアイツと同居生活
二曲目が始まった。
一曲目の『モスキート』よりもアップテンポの曲。
賢一が得意げにドラムを叩く。
そして、慎吾がステップを踏みながらベースを弾く。
優弥さんは相変わらず変な音でギターを鳴らし、蒼のふざけた歌が始まる。
碧とは違う。
色気も強さも何もない。
ただ、ひたすらふざけている。
でも……
その歌声は本物だ。
所々碧を感じてしまう。
そして、痺れてしまう。
会場は手を振り上げて騒いでいた。
座って腕を組み、頷きながらそれを見る蒼。
慎吾はベースを弾きながら寝そべっている。
優弥さんはひたすら黙ってギターを弾いて。
賢一はスティックで頭を掻いたりする。
だけど……
サビの部分では狂ったように演奏をする四人。
そして、蒼の歌声が響き渡る。
どれだけふざけても、どれだけ冗談でも、本質は変わらない。
やっぱりFはすごい。
そしてあたしは、新しい蒼を見てさらに好きになる。