続・危険なアイツと同居生活
「そうかな……」
カズはそう言って、再び俺を凝視した。
「お前……相当練習もしてるな」
「え?」
「右手がピックを持つ形になってる」
慌てて手を引っ込める。
そうなのか!
俺、そんな癖が付いてしまっているのか!
「それに、その手の荒れ方も半端ない」
「ま……まぁ、練習はするよ。
だってライブじゃん」
そう言った俺に、
「そういう熱い奴、好きだな」
カズは嬉しそうに笑った。
カズは楽しそうだけど、何だか気が気でない俺。
やっぱり北野さんの言うとおり、やめておけば良かった。
俺はカズを騙しているも同然。
でも、どうすることも出来ない。
こんなの、いけないよね。
再びビールを口に含んだ。
だけど、今日は酔ってはいけない。
酔ってボロを出したらいけないんだ。