続・危険なアイツと同居生活
曲が終わり、沸き起こる拍手。
あたしも夢中で拍手をしていた。
初見でここまで曲を弾きこなすF。
そして、聴き手をその世界に引きずりこむ。
これがプロの意地。
プロの技。
いつものFとは違うのに、胸がドキドキしておかしいよ。
初恋みたいに心がざわざわして、きゅんと甘く切なくて。
笑顔の蒼に抱きつきたい。
「それにしても、乙女な曲だなぁ」
「優弥らしくない」
「てか、優弥にこんな恋心が分かるなんてな」
爽やかに笑うメンバーに、
「うるせぇ、てめぇら」
顔をしかめて吐き捨てる優弥さん。
優弥さんの回りにだけ、黒い邪念が渦巻いていた。