続・危険なアイツと同居生活
時間になり、ベースの低音が大地を揺るがした。
ドラムの音が大きく響く。
そして、F特有の尖ったギター。
俺の心は高鳴り、ステージに釘付けになる。
沸き起こる悲鳴。
手を振り上げ叫ぶ人々。
それを見渡す不敵な笑みを浮かべる戸崎さん……いや、碧。
いつもの彼とは全く違う彼。
だけど、その左手には俺たちが渡したふざけたブレスレットが付いている。
それが唯一戸崎さんだということを物語っていた。
張り裂けそうな胸を押さえ、大声を出して飛び跳ねる俺。
この歌が聴きたかった。
俺の魂を掴んでグイグイ揺さぶるこの音楽を。
これだからFは止められない。