続・危険なアイツと同居生活
「それにしても、結構人来てるんだね」
そう言って何気なく横を見たあたしは、信じられないものを目にしていた。
通路を挟んだ向こうの席。
そこに、見たことのある顔があった。
……と言っても、それは知り合いでもなんでもない。
単に見たことがあるだけだ。
胸が痛む。
そして、不安が大きくなる。
だってその顔は、卒業アルバムで蒼と笑っていたあの女性だったから。
さらさらの黒髪。
清楚なワンピース。
そして、人形みたいに可愛いその顔。
間違いなく蒼の元カノだ。
彼女がどうしてここに?
もしかして、蒼が?
蒼、あたしには黙っていたのに。
考えれば考えるほど不安になる。
胸がずきずきと痛みだす。
微笑んでまっすぐに蒼を見つめるその女性を見て……
この場から逃げ去りたいと思った。