世界の隅
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前の話しをしようか。
「ねぇ、美希ちゃん?」
『なぁに先生』
「昨日、偶然見かけたんだけど一緒にいた怖いお兄さん達は誰?」
『怖くなんかないよ?あのお兄ちゃん誰はね?あたしの家族なんだよ!』
「…そ、そう」
ニコニコと笑いながら言う私に先生は顔が引きつっているように見えた。
その次の日からだった。
同級生のお友達が私を避ける。
『ねっ、みかちゃん』
「…」
聞こえなかっただけだと思っていた私は、お友達の肩にポンポンと手をかけた。するとその子は“さわらないでっ”と叫びどこかへと行った。
なんで?
周りのお友達に視線を向ければ、みんながみんなふぃっと目を合わせてはくれない。
するとそこに昨日、お話ししていた先生がやってきた。
『先生、みんなが無視するの!』
「…怖いわ、あなた」
『へ?』
その先生もまた私の横を素通りをして、他の子の元へと行ってしまった。
それからは、クラスの子だけではなく違うクラス、学年。先生や大人の人達までもが私を蔑んだ目で見ていた。
「あの子じゃない?」
「えぇ、間違いないわね」
「怖い子だわ」
コソコソ話しているのに、その人達はわざと私に聞こえるように耳打ちをする。
何度も家族に話そうとしたが
「今日は学校楽しかったか?」
そう笑顔で聞いてくるもんだから、精一杯の笑顔で『今日はね~』なんて、ありもしないウソをついた。
人間不信、そんな言葉がピッタリだ。
家族以外の人とは、全く話さなかった。中学生に入ってもそれはかわらず、私のことは早くもみんなに広がった。