自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー
こんな廃れたヤンキー校でも、グランドピアノのはあるわけで。
ピアノのイスに蘭子が座った。
言えねぇけど、ちょーミスマッチ!!
「ピアノ懐かしい……」
「弾けんのピアノ?」
「まぁ多少。小5まで習ってたから」
「なんか弾いてみてよ!」
ちょっと悩んでから、鍵盤に細くてキレイな指をそっと置いた。
高めの音で繰り出される曲は、どっかで聴いたことのある音楽。
え………めちゃくちゃうまい。
心地いい音色にすごく落ち着く……。
「……っと、まぁ…こんな感じ」
鍵盤から指を離した横顔は、少し楽しそう。
「めっちゃうまいね……。蘭子のことなめてたわ!ピアニストになれんじゃん!」
「そこまでうまくない……。でも、ありがと」
「やめたのもったいな~……」
「ほんとよね。つまんないや、って気まぐれでやめちゃった」
苦笑気味に答えた。
見掛けに寄らずこんな才能あったなんてびっくりだわ……。