自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー
こっちは早く帰りたいのに、なんとなくショウに流されて公園のベンチに座った。
ショウのこの香水の匂い……懐かしい。
嫌だった中学時代の記憶を一気に呼び覚ます。
「なぁ、ラン。何食ってんの?アイス?」
「そうだけど。……!」
パクっと悪気のない顔で食べられた。
……もう、このアイスいらない。
「これ全部あげる。あたしもういいわ」
「ラッキー♪ありがと!……やっぱ元カレとの間接チューは無理?」
「無理。付き合ってても無理だった」
「お前冷たさに磨きがかかったな!俺はランのこと大好きだったのに~」
嘘つき。
他の女と浮いた噂を何個も聞いたことあるんだけど。
要は、コイツは女遊びが激しかっただけ。
「ランさぁ~……今彼氏いんの?てか、高校行ってる?」
「行ってますけど。それに彼氏もいる」
「ふ~ん。そっか。その彼氏ってどんなヤツ?」
元カレのクセに平然と探ってくるこの態度にイライラ。
「アンタより、よっぽど優しくて気の利く最高の男。じゃ、さようなら」
「あ、おい!もう行くのかよ!」
「話してる時間無駄」
振り返らずに真っ直ぐ歩いたからアイツの表情は分からない。
ただ、声色が驚くほど切なそうだった。