自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー

蘭子の過去




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中3の8月。


夏休み明けの学校で一匹狼のあたしと校内トップで金髪で目立ってたショウが出会った。


しかも下駄箱で。



ヤバイ………遅刻確定だ。


下駄箱に着く前の時点で、ケータイを見ると8時30分ちょっきり。


諦めて下駄箱に行くと、あたしと同じ様にダラダラしてる男子。


あ、杉谷祥太だ………。


トレードマークの金髪と軟骨まで空いたピアスが直感的に思い付かせた。



関わりたくないな……。



そう思いながら、俯いて薄く染めた茶髪で顔を隠した。


けど………


「あ、お前も遅刻~?」

「え?あ、うん……まぁ」

「仲間だな!てか、名前なんてーの?なん組?」

「3組の……引地蘭子」

「蘭子ってーのか!俺は1組の杉谷祥太……あ~分かってるかな?」


なんて笑って見せる。


コイツのことを知らない男はいない。


だから、あたしはコクッと小さく頷いて下駄箱を去ろうとした瞬間………


アイツの手があたしの手首を掴んだ。



「ねっ、蘭子ちゃん。いきなりだけど俺の彼女やんない?」


人の良さそうな笑顔で、とんでもないこと言う。


「嘘……でしょ?」

「いや、本気。なーんか、他の子と違う雰囲気が気に入った」

「彼女とかやらないから」

「俺のこと誰だと思ってんの~?」


ほぼ脅しだ。


こんなことで付き合うことになってしまった。


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