自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー



全開に開いた空き教室の窓から、甘くて爽やかな桜の香りが入り込む。


こんな廃れたヤンキー校にも一応、キレイな桜の木があるわけ。


ピンクの桜がちょうど満開。


「早いなぁ〜……もう俺ら高3か」

「あと少しで卒業だね」

「寂しいな。当たり前に蘭子といられたのに、いられなくなるんだもん」

「もう一生会えないわけじゃないでしょ」

「そうだけど〜。俺はこの何気ない時間が好きだから!」



あたしも好き。


何も考えずに、ただ二人で空き教室にいる空間が。


心地良い。


退屈だけど次の授業からは、ちゃんと出なくちゃ。


「次のチャイム鳴ったら、あたし行くね」

「もう行くの!?あと少しだけ、イチャイチャしてよーぜっ♪」

「抱きつかんでよろしい……」


あたしを後ろから抱きしめて離さないと言わんばかりに、力を込める。


はぁ〜………困った。


「離しなさい」

「嫌だー!蘭子とクラス違うから嫌だー!」


アンタは子供か。


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