自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー
なんだか今日はゆっくりと平和に一日が進んでる気がする。
桜井諒哉が来ないと、こんなに平和なのね……。
午後の授業中、教室の窓から春も終わりかけの木々をジーっと見詰めてみた。
「ねぇねぇ、蘭子ちゃん……」
「……ん?」
前の席に座る小柄なありすが振り返って、小声で話す。
「今日は桜井くん来ないね。どうしたんだろう?」
「さぁー……」
「ふふっ……蘭子ちゃんて桜井くんに無関心だねっ。あんなに好かれてるのに」
「興味ないから」
その一言で片付けた。
興味ないのは事実だし、ありすが言ってることは正解。
「でもさ、いつもの日常なのに来ないと寂しくないの?」
「寂しいわけない。ありすこそ好きなヤツいないわけ?」
「えっと……い、いないよっ」
いるな。
笑顔が嘘ついてるし、何より嘘つくの下手くそ過ぎでしょ。
頬をピンクにするありすから目を逸らして、あたしはまた外を見る。
いつもいるのに、いないのは日常と違うから心が複雑。
全部、ぜーんぶアイツが原因。