自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー
特に深い話するわけでもなく、音瀬とは駅が真逆で別れた。
アイツにとって、真夕美さんはそんな大きい存在だったんだ。
………興味ないって。
それから数日した曇り空の朝。
教室に行くための廊下を歩いてると、耳を疑うことを聞いた。
『桜井諒哉くんと音瀬銀くんが、ケンカ中らしいよっ!』
あんなに仲良かったのに?
絶対にデマでしょ?
サラッと流すつもりだったけど、ありすが走ってあたしの所に来た。
それも、ものすごい焦った顔付き。
「蘭子ちゃん大変!!桜井くんと音瀬くんが………殴り合いになって…」
「は?ありすまで、デマに流される気?」
「ほんとなの!今二人とも職員室呼ばれて……停学になるかも…」
「何あったのよ……」
ほんとに男ってつくづくバカ。
殴り合いなんて、いくつになってしてんのよ。
「おい!待て!桜井!」
「退学にするぞ!!」
廊下に響く教師達の声と、それから全力疾走で逃げる桜井諒哉。
なんで逃げてんの!?
あたしの目の前を通る瞬間、手首を強く掴まれて強制連行!?