自由人女子に一目惚れした天真爛漫ヤンキー
「……待てよ。桜井諒哉」
低い男の声が俺の足を止めた。
「今ここで勝負しろ。俺が勝ったら、トップの座も引地蘭子も全部もらう」
「トップに逆らうな……なんて言いたくないけど、黙ってるのも嫌だしな…」
「ダメ……。やめて…」
蘭子ちゃんが俺のジャージの裾をきゅっと引っ張る。
完全に蘭子ちゃんを守るためには、この勝負引けない。
やんなきゃ。
「ちょっと待てー!諒哉!」
「大地!……銀!」
「ケンカは俺と銀に任せとけって」
「いや、それはトップとしての顔立たねぇから…!」
「誰が蘭子ちゃんを守る?」
珍しく大地が真面目な顔。
そうだ……俺が守ってやるって決めたのに。
「おい、諒哉。引地に掠り傷の一つでも負わせてみせろ。分かってるな?」
「……サンキュ銀。大地」
俺は、蘭子ちゃんの手を引いて走った。
追っ手が来なくて二人になれる場所。