女装趣味とヘタレと同級生
届かない思い
「北見くん」
「悠っち」
お互いの名前を呼んで嬉しそうに笑っているクラスメート。
北見くんはあたしの好きな人。
悠は北見くんの好きな人。
中学校からの付き合いらしく、周りから見れば付き合っていても可笑しくないくらい仲がいい。
他の人が入り込む好きがないくらいに。
そんな二人を見ながらあたしは唇を噛み締める。
「わかってるよ、そんなこと」
周りに聞こえないくらいの小さな声で呟き、教室に入る。