女装趣味とヘタレと同級生
「なんであたしが、叩かれなきゃなんないの」
痛む頬にだんだんと腹が立ち睨み返す。
悠はピクリと肩を跳ねさせて少し後ずさる。
「きーちゃんとさっきまで楽しそうに話してたくせに、なんであたしがそんないちゃもん付けられなきゃなんないの」
「楽しそうに離してるのは美夜ちゃんだって同じでしょう」
「だからってあたしが叩かれる意味が解んない」
「だいたい男のくせに男が好きなんて気持ち悪い」
その言葉にピタリと動きが止まる。
----何で知ってんの?
そんな顔をしていたのか悠がふんっと顔を背けながら答える。
「見てれば解るよ、アナタいつも北見くんの事見るてるもん」
「あんたに何が…」
そう言い掛けると同時くらいに部室の扉が開き、きーちゃんが立っていた。
ゆっくりとあたしたち二人を見ながら近付いてくる。
悠の隣まで行き、そこで止まる。
「なにがあったの?」
「ちょっとね」
そんな会話をしている二人を見つめる。
----ああ、やっぱり女の子には叶わないな。
そう思うと同時に二人の横を抜け部室から走り出した。