女装趣味とヘタレと同級生
通じ合った思い
廊下にバタバタと音を響かせながら走る。
「待ってよ、美夜っち」
後ろからきーちゃんの声がするが、止まらない。
「美夜っちってば」
すすぐ後ろで声がしたと思うと、腕を掴まれた。
離そうともがくがビクともしない。
----なんで!同じ男なのに。
「離して」
「離したら逃げるでしょ」
「逃げてない」
「じゃあ何で避けるの?」
「避けてない」
「避けてるよ!!」
きーちゃんの大声にビクッと肩が跳ねる。
同時に壁に追いやられ脇に手を突かれて逃げ場をなくす。
「俺と目があう度逸らされてればなんとなく気付くよ」
言われた言葉に何も言えなくて俯く。
----だって…しょうがないじゃん。
「俺は美夜と話せないの嫌だよ」
少し切なげな声で言うきーちゃん。
いつもの“美夜っち”ではなく“美夜”と呼び方を変えて。
大事な話や真面目な話をする時にする呼び方。