遠恋
第4章 私を知る二人組
「どした、またそんな顔して」
真凛が私の頬に触れる。
『なんでも..ないよ...』
「光希に似てたね、思いだしちゃったか..」
そして、私は頬にある真凛の手をとり
ぎゅっと軽く握ってみた。
少し濡れていた真凛の手。
ああ、私いま泣いてるんだ。
そうわかった瞬間に、光希とのたくさんの
思い出が蘇ってきた。
最後の最後に見た時には、少し青白くて
手や顔には無数の傷の光希の姿。
光希の柔らかい体温さえ感じられなくて_...
光希じゃないかもしれない。
似てるひとなだけかもしれない。
そう何度も思った。
でも、確かに香る愛しい人の匂い。
光希
私は光希のことがだいすき
いますぐ会いたい
はやく迎えにきてほしいくらい
ねえ、光希は
私のこと忘れたりしてないよね?
ずっと私だけをみててくれるよね?
懐かしいあの頃の記憶を私は鮮明に
思い返す。
海にいったこと、花火をしたこと
流れ星をみたこと、バイクに乗ったこと
授業をふたりでサボったこと。
たくさん、たくさん、あるんだよ。
あの頃の私はまだまだ子供だった気がする。
もうそろそろ光希が遠くにいってから3年。
光希のことなど1度も忘れたことがない。
忘れるつもりもないけど。
ああ、神様。
なんで考えないように頑張ってるのに
光希を思い出すようなことをしたの?
光希に似てる人になんて会いたくなかった。
また真凛に心配かけちゃったし....
真凛は私の手をにぎりながら
切なそうに座り込むわたしの背中をずっと
優しくさすってくれていた。
.........