遠恋
しかし、ある日。
それは突然だった。
光希の親から電話がきた。
光希が車に引かれた。病院にいるからすぐ
きてほしい。
友姫ちゃんにも連絡しとくわね。
俺はバイクを飛ばして病院に向かった。
病室を調べて走って部屋へ行く。
手術はしたが、もう...駄目らしい。
光希の周りには親しかいなかった。
酸素マスクをして、絆だらけの顔や腕。
光希は俺をみて苦しそうに話かけた。
『..こう...おれ、もう..だめな..んだ。
ゆ..きを...まれね..ぇよ..っ』
痛々しく話す光希に涙が溢れた。
俺は自分でもなにを光希に言ったのかいまいち
覚えていない。
『ゆき..を...かわり..にまもっ..てくれ..
しあわせに..なる...まで、みててくれ..』
「ああ、わかったよ。絶対友姫を守る。
幸せになるまで見届けてやるよ。安心しろ」
俺は光希の望みを叶えてやろうと思った。
幼馴染みの初恋を少しでもいい恋にして
ほしかったから。
光希は横にあった傷が少しついた
小さな箱と手紙を俺にわたしてきた。
手紙には「友姫へ」そう書かれてあった。
そういえば、誕生日が近いんだっけ。
光希は照れ臭そうに笑った。
意外と冷静な俺は、友姫がきて
光希と話して、泣きじゃくる友姫をただただ
涙をこらえて見ていた。
光希、お前のために友姫が泣いてるぞ。
幸せだな、お前は。
いつか天国で友姫を抱き締めてやれよ。
もし隣にだれかいても...
お前が望んだことだ、嫉妬もほどほどにな。
ピーピーピー
光希は天国へ旅立った。
泣きじゃくる友姫は光希の手をおでこに
あてながらわんわん泣いた。
そんな友姫の背中をさすりながら
静かに涙を流す真凛。
平気なふりをしながら
きっと心は大泣きの、翔琉と優真。
光希の母さんは静かに泣く父さんの肩で
ハンカチを使い泣いていた。
みんなみんな泣いていた。