遠恋
第2章 考えないように
「友姫、おきてるー?」
インターホンを鳴らした真凛が画面ごしに
喋りかけてくる。
メイクをして、花柄のオールインワンを着て
ピンヒールをはいて、髪をととのえて。
ドアをあけた。
「おっそーーい」
『ごめん、ごめん』
「芝田下で待ってるよ♪」
『んじゃ、おりよっかー』
キャリーバックを引きながら
エレベーターに乗った。
そこには、村山光太郎。がいた。
光希の友達でよく遊んでいる人だった。
最近ここにひっこしてきたらしく
同じマンションに住んでいた。
『おはよー』
「おはよ、光太郎も合宿いくの?」
「はよはよ、俺も合宿~♪」
『まじ?てか芝田の車でいく?』
「えー、芝田わざわざ車だしてんの?!」
『うん、だしてるよ』
「お言葉に甘えておれも乗ろうかな♪」
そうして、光太郎も一緒にホテルへ向かった。
「お、やっと来た...って、光太郎!」
芝田は車に乗り込んできた光太郎を見て
少し驚いていた。
「お世話にまりまーすっ♪」
『てか、男は光太郎だけなの?』
「翔琉、優真もいるよん♪」
『..迎えにいかなくていいわけ?』
すると光太郎は運転席にのりだした。
『花見公園までよろしくね♪』
芝田はため息をつきながらも公園へ向かった。
花見公園に着くと翔琉と優真を乗せて
合宿場所のqueenホテルまで向かう。
『優真、なんか顔変わったね』
「なにそれ、誉めてんの?」
『んー、なんか、大人っぽくなったね』
「まじ?ありがと」
優真は、二重でぱっちりな目に
金髪で体格もいい、もて男だった。
女の子には冷たいみたいだけど
私とか真凛は一緒にいるうちに普通に話て
くれるようになった。
「しばっちゃん、まだつかねぇの?」
「翔琉。その呼び方はやめろ」
そう、翔琉は芝田先生のことを
唯一しばっちゃんと呼ぶ。
光希は、芝田先生と出逢ってたら
なんて呼んでたかな??
「また、そんな顔して!」
真凛が頬を軽くつねる。
光希のこと考えたらすぐ真凛にはばれ
ちゃうんだよね。
いったいどんな顔してんだろ。私。
『あはは、ごめん、ごめんっ』
笑い飛ばしてみたものの、翔琉と優真まで
なんだか悲しそうに私をみつめる。
「友姫、無理しすぎじゃねーの?」
そういったのは翔琉。
なんだかんだ一番の心配性だったりする。
『なにそんな、無理なんかしてないよっ』
笑顔で振る舞っても、だめだ。
みんなのうきうき気分を私が台無しにした。
すると、ナイスタイミングに芝田が喋り出す。
「ついたぞー、海が綺麗だなぁー」
キラキラ光る青い海が私たちの目を
釘付けにした。
真凛や翔琉、優真も窓から海をみていた。
よかった。とりあえず安心。
合宿の間は光希のこと、考えないでいよう。