臆病な恋



後ろから呼ばれたので振り向いた。





「あ……」





そこにいたのは透斗だった。






「ごめん、さっきメール見て…」




「ぜ、全然大丈夫だよ!」





透斗に謝られ、とっさに言った。








──────再び流れる沈黙。





外からはしゃぐ女子生徒の声。





いつも聞こえるはずの吹奏楽部の楽器の音も聞こえない。









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