臆病な恋
本気
「はぁ………」
朝から雪音はため息をついた。
あっという間に5月の後半で、透斗とは廊下で顔を見るだけで話せずにいるのだ。
「ため息ついてどーした?」
そんな雪音に声を掛けたのは、前の席の
小畑春平(こばた しゅんぺい)だった。
彼は一年の頃から有名で、誰からも慕わ
れ、何もしなくても目立ってしまう、
クラスでも中心的人物なのだ。
「ほら、チョコあげるから元気出しな」
そう言って、雪音の手にチョコを置いた。
「…ありがと!」
貰ったチョコを食べ、少し元気が出たようだった。