臆病な恋
現在8時30分。SHRは8時35分。
諦めないで走ればギリで間に合う距離。
「めんどいけど走るか…」
と、ため息をつくと
「おばあちゃん大丈夫!?」
心配するような声が聞こえてきた。
声のした方を覗いてみると、
セミロングの女の子と倒れているおばあちゃんがいた。
どうやら倒れているおばあちゃんは石に
つまづいて転んでしまったらしい。
ふと、女の子の横顔が見えた。
あ…黒川さんだ!
同じクラスになったばかりの女の子だった。
出席番号順で席が前後なので名前を覚えていたのだ。