臆病な恋
透斗は腕をつかんだまま、じっと雪音を
見つめる。
「黒川さんは……」
「は、はい!」
いきなり呼ばれたのでとりあえず返事をした。
「黒川さんは、ラケット振るのが早いか
ら、1テンポ遅くした方が良いと思う」
ずっと見ていた透斗は、失敗続きの雪音にアドバイスをした。
「1テンポ?」
「うん。あとは…」
透斗は少し考え、
「あとはもう少し落ち着いて、ね?」
ニコッと微笑みかけるような笑顔一つで
「~~~~っ!!」
嬉しすぎて舞い上がりそうになってしま
う。