臆病な恋



倒れた雪音を助け起こそうと透斗が近付いた。




透斗が手を差しのべたので、その手に掴まり立ち上がる雪音。




ありがとう。

そうお礼を言おうとした時──






「…黒川さんには俺たちのこと、関係ないから、だから……」




“だから口出しするな”




そう言おうとしているのが分かってしまった。




少し目を伏せがちに言う透斗を見つめた。




そして、




「ごめん、確かに私には関係ないね」





そう言って透斗と七海を置いて体育館を後にした。






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