臆病な恋




運悪く、チャイムの鐘と被ってしま
い、『思ってはいたんだけど…』から聞き取れなかった。






「…だから!」




透斗はさっきより大きめの声で、






「黒川さんに似合うのを探してたらホワイトデー過ぎちゃって、渡すタイミングを逃しちゃったの!」






思いも寄らぬカミングアウトに、自然と頬が緩んでしまう雪音。





「…あははっ」





「何で笑ってんの!?」





「だって…これ、真剣に選んでくれたんでしょ。すごく嬉しくって」







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