臆病な恋
「そーいえばさ、瑠佳にはいないの?」
今、雪音たちのクラスは体育館で
ビニールシートを敷いていた。
雪音の問いに瑠佳は首を傾げながら、
「なにが?」
「好きな人、いないの?」
瑠佳は手招きをした。
雪音が近づくと、瑠佳は耳打ちをした。
「………っええ!!?」
「しーっ!!」
驚く雪音の口を押さえた。
いきなりのバカでかい声に、みんな一瞬
こっちを見たがすぐ作業に戻った。
「あ、ごめん、つい…」
雪音は小声で謝った。
「そっか、前橋くんだったんだ~」
前橋博文(まえばし ひろふみ)。
同じクラスで瑠佳と席が隣で、
バスケ部所属の爽やかなイメージだ。