臆病な恋



「────…っ!!?」




雪音のすぐ後ろにいたのは透斗だった。




「ごめん、パンフレット無くなっちゃったから半分ちょうだい」




女子は校門で、男子は昇降口で受付を
分かれてやっていたのだ。



「あ、うん!」



言われた通り半分差し出した。




「これくらいでいいかな?」



「うん、大丈夫」




受け取ろうとした透斗の手が
ちょうど雪音の手を包み込むような形に
なってしまい、




……バサバサッ!!




「…あ、ごめん!」




雪音は思わず手を放してしまった。



落ちたパンフレットを一緒に拾い集め、
透斗に渡した。




「ありがと」



そう言って、自分の持ち場へ戻った。





「………………き……」



「ん?」




瑠佳が聞き返すと




「き…緊張したぁー!!」




雪音の言葉に思わず吹き出す瑠佳。




「見てるこっちは面白かったけどね」




「もぉー!!」




雪音は頬を膨らませ、ふてくされた。







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