臆病な恋


─透斗side─



俺、もしかして嫌われてんのかなー…




かなり量のあるパンフレットを抱えながら2、3分前のことを考えていた。




パンフレットが無くなったので半分くらい貰い、雪音から受け取ろうとしたとき、
間違って雪音の手に触れてしまった。




……バサバサ!




「…あ、ごめん!」



と、雪音が謝った。




雪音の手に触れた瞬間、
なぜか手を離されてしまった。



いや、別に黒川さんと手繋ぎたかった
わけじゃないけど…



プリント落とすほど嫌だったっていうのが結構ショックだったのだ。



そんなに仲がいいわけではないが、
嫌われているとも思っていなかった。




なんでこんなに───…




透斗はなんともいえない胸の内に
腹立たしさを覚えた。






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