臆病な恋



「────ね、寝不足!?」




雪音は驚きのあまり声を荒げた。




紗奈絵の母親によると、



最近、紗奈絵は寝る間も惜しんで勉強を
しているらしく、ちょうどお昼ご飯を
食べに下へ降りるとき足を踏み外し、




「全治一週間のケガで済んだのよ」




紗奈絵の母親は笑いながら言った。




「おばさんが『倒れた』だなんてメール
送るから!」




「ごめんね、私も気が動転しちゃって」




「全くもぉー…
後でお見舞い行くんでまた連絡しますね」





ピッ


 

雪音は電話を切った。




「……………よかった」




呟くように言った雪音はその場に
しゃがみ込んでしまった。




後ろから見ていた透斗が




「黒川さん、大丈夫!?」




心配しながら近づいた。



すると……







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