臆病な恋



博文は少し言いずらそうに言った。




「……やっぱり、ね!」




雪音はあえて明るく振る舞って見せた。





「声ね、女の子らしくて可愛かったから
きっと実物はもっと可愛いんだろうね」




「でも、まだ彼女か分からないよ?」




瑠佳は雪音をなだめるかのように言った。





「いいんだ、もう。
…私、用頼まれてるから先に帰るね」





雪音はバッグを持ってドアノブに手をかけた。




「…メリークリスマス!」




と、出るときにわざと明るく言ってみせ
た。








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