殺戮都市
「ぎゃああああっ!!テメェッ!!顔は覚えたからな!!ぜ、ぜってぇ殺してやる!!」


腕を切断され、悶える男を前に、俺はどうすれば良いか迷っていた。


このまま殺しても、生き返れば俺も亜美もこいつに追われる事になる。


俺は元々南軍だから構わないけど……亜美はそういうわけにもいかないんだ。


「亜美……後ろ向いて耳塞いでろ。こっちを見るんじゃないぞ」


「テ、テメェ……何する気だ!!」


「まずは腕を切り落とす。次は脚だ。あんたがやろうとした事だよ。だったら、同じ事をやられる覚悟はあるんだよな?」


そう言っているこの瞬間もまだ迷っている。


これが脅しとなって、二度と亜美に手を出さないと約束してくれれば……良いんだけど。


こいつがそんな約束を守るかどうかは別問題として。


「ふ、ふざけんじゃねえ!」


人にはしても、自分がされる覚悟なんてない。


そう言わんばかりに、ポケットから端末を取り出した男。


何をするつもりだと見ていたら……。


「おい!翼!!俺を助けろ!!場所は……」


まさか、通信機能!?


仲間に助けを求めて、俺達を殺すつもりか!


そうはさせない!


男が左手で持っていた端末を目掛けて、俺は日本刀を突き立てた。
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