殺戮都市
ビルを出て、喫茶店に向かって歩き出した俺と亜美。


大通りを避け、路地を縫うように移動する俺達の前に、人の姿はない。


皆どこかの建物に潜んでいて、戦闘開始予告が流れたら出てくるんだろうなと思いながら、建ち並ぶビルを眺めていた。


「それでね、お姉ちゃんはいつも色んなお話をしてくれたの。勉強も教えてくれたんだよ」


「そ、そうか。ところで亜美、いつまで手を繋がないといけないのかな?」


ビルを出る前からずっと、亜美と手を繋いでいる。


寂しさや心細さから来ているんだろうというのは分かるけど、クラスメイトに見られなくて良かったよ。


こんな所見付かったら、ロリコンだ変態だと言われるに違いないんだから。


「お、お姉ちゃんは外に出る時はずっと手を繋いでくれたもん。こうすると怖くないよって」


美咲さんか……話を聞けば聞くほど、優しくて素敵な女性に思えるよ。


そんな人を失ったんだ、亜美がどれだけ寂しいか、考えれば分かる事なのに。


「分かったよ。でもな、もしも戦闘になったら、手を放してどこかに隠れるんだぞ?」


「はーい。分かったよ」


なんて事を話しながら、路地の交差点に差し掛かった時だった。
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