殺戮都市
この男が言っているやつとは……まさか弓長の事なのか?


死ぬ間際、誰かと通信していたようだったし、それがこの男だとしたら……俺の素性が知られるのはまずい。


「って、お前すげえ血だな。どんな怪我したんだよ」


「え、ああ……ポーンにやられて。それより、ホストみたいな格好の人ですよね」


さっさと行ってほしいのに、どうでも良い俺の怪我の事なんて放っておいてくれよ。


この人から逃げる為には、正直にどこにいるか言った方が良さそうだ。


現場を見られた所で、俺がやったと特定出来るはずがないのだから。


「そんな感じの人なら、光の壁の近くのビルに入るのを見ましたよ。ここから200メートルくらい向こうの。何か怒鳴ってましたけど」


「あー、多分そいつだ。あんがとな」


本当にありがたくは思っていないだろう。


面倒が増えたと言わんばかりの態度でそう呟いて、俺が言った方向
を見た。


よし、これで良い。


この場をやり過ごせば、もうこいつとは会う事はないだろうから。


そう思って、立ち去ろうとした時だった。


「あ、そう言えば……死神が出たらしいから気を付けろよ?ガキ二人で歩いてっと、あっと言う間に殺されんぞ?」
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