殺戮都市
その言葉にドキッとして、その仲間である俺の存在も知られているのかと不安になった。


だけど、良く考えれば、東軍で俺と恵梨香さんは一緒には行動していないから、知られているはずがない。


「お、お兄ちゃん。死神って何?」


焦りを見せる俺に、亜美が良いタイミングで質問してくれた。


「あ、ああ……死神ってのは、凄く強い人でね、いっぱい人を殺してるから、そう呼ばれるようになった人の事だよ」


教えながらこの場から立ち去る。


何も不自然な事はないはずだ。


「おーいおい、とりあえずお前、手首を見せてみろよ。こんなガキが死神なわけはねえと思うけどよ、一応確認しないとだろ?」


……そう、上手くはいかないみたいだ。


「大丈夫だよ、ほら青色でしょ?」


あれだけ手を放すのを嫌がっていた亜美が、俺のズボンのポケットから手を出して男に見せる。


「うんうん、分かったよお嬢ちゃん。で?お前も青なら終わりな話だろ?見せてみろよ」


やばいぞこれは……完全に追い詰められた。


確認するまでは警戒を解かないに違いない。


だとすれば……間違いなく戦闘に発展してしまう。


男の顔をジッと見詰めて……俺は、ある事に気付いた。
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