殺戮都市
こいつ……どこかで見た事がある。


東軍の人間と接触した事なんて数回しかないから、思い出せるはずなのに……色々とショックな事がありすぎて、なかなか答えに辿り着く事が出来ない。


「どうした?まさかお前が死神なんて……事はねえだろ?」


そう良いつつも、男はナイフを取り出してその切っ先を俺に向けたのだ。


疑い始めている。


でなければ、武器を取り出したりなんかしない。


そして……そのナイフにはやはり見覚えがある。


これは……新崎さんの頭部に突き立てられたナイフだ!


新崎さんは死んでしまった。


斎藤の手によって殺されてしまった。


あの時、ソウルが余っていれば……なんて、考えても仕方がない事だけど、死ぬ必要なんてなかったんだ。


「分かりました……見せりゃ良いんでしょ?その代わり……」


目で亜美に合図を送り、隠れるように促した俺は、ポケットの中で日本刀を掴むイメージを固めて男に近付いた。


そして、ポケットから手を抜くと同時に、日本刀の切っ先を男に突き付けたのだ。


「死ぬ事は覚悟してもらいますよ」


「テメェは……南軍か!」


奇襲を掛けられず、距離を取って睨み付けた俺に、もう迷いはなかった。
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