殺戮都市
踊り場に上がり、二階を確認する。


売り場の証明は消えていて、真っ暗な闇が広がっているのがここからでも分かる。


中央のエスカレーターを見張っていたやつがいたくらいだから、ここにもいると考えた方が良い。


そいつに見付からないように、見付かっても騒がれる前に仕留めないと。


「さあ、どうする。向こうがこの階段をジッと見ているとすると、私達が顔を出した瞬間騒がれる可能性があるわけだが……」


「……まさかの無計画ですか?何か考えがあったから階段を上ろうって言ったんじゃないんですか」


「着替えなければ闇に溶ける事が出来たんだがな。今はこんな可愛い服を着てしまっている。これじゃあ目立ってしまう」


なんて言いつつも、少し嬉しそう。


確かに着替えろとは言ったけど、こんな服に着替えろなんて俺は言ってない。


恵梨香さんのまさかのセンスに、俺の期待は裏切られたわけだけど。


「だったら……色仕掛けとかどうですか?さっきの男達見たでしょ?騒ぐわけでもなく、自分達だけで恵梨香さんを捕まえようとしたじゃないですか。他の人に知られずに楽しみたいって思うんじゃないですかね?」
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