殺戮都市
男を殺して、また身体が軽くなったのが分かる。


日本刀自体には殆ど重みを感じない。


首を刎ねた勢いのまま、クルリと身体を回転させた俺は、隣にいた男の胴にも鋭い刃を滑らせる。


何が起こったのか分からないという様子で、切断された腕と胴を見ながら……男二人は床に崩れ落ちた。


鬼頭の顔の怪物と戦った時から、何か違和感がある。


まるで自分が自分でないような、他の人が戦っているのを見ているかのような感覚。


「こ、こいつっ!!」


「死ねっ!」


左右から同時に襲い掛かる男達。


一歩後退すべきか……いや、恵梨香さんの攻撃の巻き添えを喰らうのはごめんだ。


背中に感じる恵梨香さんの気迫が、俺に退く事を許さない。


そう感じた俺は、左側の男の懐に飛び込んで、その腹部に日本刀を突き立てると、刃を返して一気に上方へと振り抜いた。


腹から頭まで真っ二つに裂け、大量の血が飛び散る。


そして、身体の向きを変え、もう一人の男に振り上げた日本刀を振り下ろす。


とっさに構えたハンマーの、木の柄ごと真っ向から切り落とし、俺の足元に倒れこんだのだ。


日本刀から……力が伝わってくるのが分かる。
< 280 / 845 >

この作品をシェア

pagetop