殺戮都市
女にとどめを刺し、振り返った時には、もうそこに敵の姿はなかった。


着替えたばかりの服が破れ、半裸状態で血塗れになっている恵梨香さんが立っていたのだ。


「全く……こんな戦いも知らないような雑兵で私を止められるものか。もしかするとここはダミーかもしれないな」


手で顔の血を拭い、俺に微笑む。


「ダミー……ですか。確かにこいつら全然強いと感じなかったですけど」


「ろくに死線をくぐった事なんてないやつらだろう。そんなやつら、少年にすら勝てるはずがない」


そんな……ものなのか。


殺らないと殺られると思って必死だったけど、俺がやっていたのは弱者をいたぶっただけなのか?


聞きたくなかったな、そんな事。


俺が強いわけじゃなく、こいつらが弱かっただけだなんて。













『かーっ!!やっぱり素人じゃ無理かよ。それにしたって14人を2分かよ。京太郎!!聞いてんな?こいつら二人とも殺して良いぞ!』













少しテンションが下がった俺の耳に、スピーカーから声が聞こえた。


「京太郎?星5レアの葉山京太郎の事か!?」


斎藤の時もそうだったけど、恵梨香さんはどこでそんな情報を仕入れているのだろう。
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