殺戮都市
「あーあ、俺に頼るなよな、全く」


そんなやる気のない声が聞こえて、慌てて振り返った俺と恵梨香さん。


戦闘が行われていたと言うのに、寝具コーナーのベッドから起き上がった一人の男がそこにいたのだ。


細身でロン毛の、優しそうな顔の男。


こいつが星5レアの葉山京太郎?


あくびをして、頭を掻きながらこちらに近付いて来る。


「うわ、何その格好。見てるこっちが恥ずかしいから、着替えて来なよ。おっぱい見えそうだよ?」


手で目を隠すけれど、指の隙間から見ている……。


「見せるつもりはないな。お前のような大物がいると言う事は、ここにキングがあるという事か?」


そう言いながらも、サッと胸元を隠して尋ねる。


「んー、教えても良いけどさ、教えないから帰るってのはどう?正直面倒なんだよね、殺し合いってさ」


何なんだこの人は。


キングがあるかどうか言わないから帰れって。


「帰らないから教えろと言ったらどうする?」


葉山は、ひょうひょうとしていながらも、一定距離を保ったまま。


俺にも恵梨香さんにも、遠すぎる距離だ。


「その時はまあ、面倒だけど死んで帰ってもらうしかないよね。キングがあるかは教えないけど」
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