殺戮都市
葉山からは殺気のようなものを感じない。


今のうちに逃げるなら逃げろと、態度でもそう言っているのが分かる。


「キングがあるかどうかを確認するには、お前を殺さなければならないという事か」


「まあそうだね。でも、それは出来ないよ。俺はそこらのやつらより、ちょっとは強いからさ」


俺達を警戒している様子もなく、ヘラヘラと笑って見せる葉山。


よほど負けないという自身があるのか。


「では試させてもらおうか」


これ以上待っていても、葉山は距離を詰めて来ない。


そう思ったのだろう。


恵梨香さんはトンファーを握り締め、一気に葉山との距離を詰めた。


しなやかに……流れる水のような印象を受ける恵梨香さんの動き。


一分の無駄な動きもない、華麗な攻撃が葉山に直撃した……と、思ったのに。


気付けば恵梨香さんは弾き飛ばされて、床に倒れていたのだ。


何が起こったのか……ここからでは分からない。


ただ、あの恵梨香さんが呆気なく倒されてしまった事だけは理解出来た。


「かはっ!何だこいつは……」


素早く体勢を……整える事も出来ずに、うつぶせにになるのが精一杯といった様子で恵梨香さんが呟いた。
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