殺戮都市
恵梨香さんの思惑通りと言うべきか、葉山は目を輝かせてこちらを見ている。


「だったら、ここにキングがあるのかどうか、教えたらどうだ?」


「んー、悩む取り引きなんだけどさ、別に俺が下手に出る必要はないんだよね」


そう言うと、今まで一定距離を保っていた葉山が、こちらに向かって歩いて来たのだ。


まずい……恵梨香さんにとどめを刺すつもりか!?


慌てて恵梨香さんと葉山の間に入り、いつでも日本刀を抜けるように構える。


「どっちだって良いんだ。女を殺そうとすれば男が、男を殺そうとすれば女が守ろうとするだろ?殺さないでほしかったら、話すしかない」


そう言い、俺をに向けた視線は……冷たく殺気に満ちた、今までとは全く別のものだった。


本気で殺すつもりだ。


今まで向けられたどの殺気よりも鋭く、俺の心をえぐる。


思わず、日本刀を取り出してしまうほどに。


「へえ……お前も星5レアなんだ?ますます気になるね。ハイレアリティ所有者が、一体何をしようとしてるかってさ」


俺が武器を取り出したってのに、葉山は素手のまま。


「少年、気を付けろ。すでにこの距離は、やつの間合いだ」


フラフラになりながら、俺の肩を持って立ち上がった恵梨香さんがそう呟いた。
< 286 / 845 >

この作品をシェア

pagetop