殺戮都市
バーコードじゃない……だとするとあれは一体誰だ？


どこを見回しても人なんていなかったのに。


よく見ると、ライダースーツにフルフェイスのメットという姿で、怪しさしか伝わって来ない。



















「グアアアアアアアッ！」



















その人物に目を奪われている間に怪物が吠えて、俺の身体がガクンと下の方に引っ張られた。


そして、腹部に走る激痛。


怪物の牙が突き立てられて、噛み切ろうと頭を振っているのだ。









「ぎゃあああああああっ！！痛……痛いっ！！誰か……誰か！！」









腹と背中を潰すような凄まじい圧力に加え、ナイフのような牙が肉を切り裂いて体内に侵入して来る。


首を振られるたび、深く牙が食い込んで、もういっその事殺してくれと思いたくなるような激痛が走った。


そんな俺の姿を見て……ライダースーツの人物がこちらに向かって走り出した。


早く、しなやかな動きで、脚に装着していた棒のような武器を抜いて。


こんな状況にも関わらず見惚れてしまうような動作。


だけど、背中から聞こえた骨が砕ける音に、俺は現実に引き戻された。
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