殺戮都市
「あ?お、おい。こいつは……」


「お、おう。間違いねえ。……いました!例のガキです!」


エレベーターで一階に降り、ビルから出た俺を見た二人の男が騒ぎ始めた。


端末の通信機能を使って、誰かに呼び掛けているようだけど……。


一体何なんだ。


「お、おい、良いからそこを動くなよ?動いたら俺達が殺されちまう。頼むからどこにも行かないでくれ」


見た事もないやつにそんな事を言われても。


怪しいし、言う事なんて聞きたくはないけど、なんか焦ってるみたいだし。


「別に良いですけど」


早く東軍に駆け付けたいと思う気持ちとは裏腹に、俺はそう答えて立ち止まった。


「ほ、本当か?いやあ、マジで助かるわ!案外良いやつなのな、お前って」


なんだか情けない笑顔を浮かべて、俺に手を合わせる男。


本当に何なんだろう。


人に探される心当たりと言えば……あの集会を恵梨香さんが襲撃した事かな?


その後一緒に行動したとは言え、あれ自体は俺には何の関係もないんだけど。


それか、奈央さんや明美さんが俺を探してくれているか。


と、言ったところか。


新崎さんが死んでしまって……俺はどんな顔で会えば良いんだろう。
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