殺戮都市
バベルの塔と街
「う、うわっ!あっ……あれ?生きてる……?」


ライダースーツの女性に殺された……はずなのに、俺は目を覚まして声を上げた。


ナイフで刺された右目も、怪物に噛まれた腹部も、綺麗さっぱり治っている。


これは一体……どう言う事なんだ?


「目が覚めたみたいだね。気分はどうだい?」


突然掛けられた声に、俺は慌ててその声の方を向く。


広い室内。良く見れば、10人以上の人がいる。


その中の男性が、声を掛けて来たのだ。


また、理解出来ない光景。


めまぐるしく変化する状況に、頭が付いて行かない。


「おっと、警戒しなくても良いよ。ここは南軍の復活ポイントさ。命を落とした人は、皆ここで生き返るんだ」


20歳前後と言ったところか……俺とそんなに年齢は変わらないように見えるけど、少しだけ落ち着いた雰囲気がある。


命を落とした人はここで生き返る?


そんなバカな話があってたまるか。


と、言いたいけど、俺が生き返ったのは事実。


学校の教室ほどのこの部屋にいる人達も、生き返ったのかな。


だとすると、明美さん達もいるはずじゃないのか?


「あ、あの……俺よりも前にヤクザと女性が来ませんでしたか?一緒にいて、怪物に殺されたんですけど……」
< 32 / 845 >

この作品をシェア

pagetop