殺戮都市
すでに斎藤とその手下はいつでも戦闘が出来る体勢で、道いっぱいに広がって俺の逃げ道を塞いでいた。


「この人数相手に勝てると思うなよ?何度でもテメェを殺してやるぞコラァッ!!」


斎藤が手を挙げて合図するけど……手下の足は重い。


「お、おい。お前行けよ」


「無理言うなよ……斎藤さんと相討ちになるやつだぞ?」


合図で飛び出した何人かの男達も、周りが動いていないのを見て慌てて戻る。


「テメェら……終わったら全員一回ずつ殺すぞ!!それが嫌なら全員でかかれや!!」


その言葉に嘘はないと分かっているのだろう。


確実に斎藤に殺されるよりは、全員で俺一人を殺す方が生きる可能性があると考えたのか、ワンテンポ遅れて手下達が駆け出した。


俺に迫る人の群れ。


手には武器を握り締めて。


これだけの人がいて、どれだけ殺したとしても、同じ軍の人間だからソウルが増えるわけじゃない。


完全に無駄な殺人。


だけど……この人の群れを越えないと、斎藤にも明美さんにも辿り着けない。


「お前らが……奈央さんを殺したんだ!!強くなろうとしていたのに!戦おうとしていたのに!!」
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