殺戮都市
迫る人の壁。


日本刀の柄を握り締め、俺はその壁に向かって走り出した。


我先にと俺に襲い掛かる手下達。


武器が振り下ろされる前に、俺は隙だらけの胴に日本刀を滑らせる。


一人じゃない。


一振りで四人。


自分が斬られたという事に気付かないで、崩れ落ちながらも武器を振ろうとする。


それを回避して、次々と襲い来る人達を斬り付ける。


全然相手にならない。


星5レアの武器が強過ぎるという事は分かっているけど、自分が強くなったという錯覚に陥りそうになる。


10人、20人と、雑兵を斬り捨てて、地面には死体が転がって、次々と光の粒へと変化して行った。


「斎藤!!お前さえいなければ、奈央さんが死ぬ事はなかった!明美さんが撃つ事もなかったんだ!」


この声が聞こえているかどうかは分からない。


だけど、想いを声に出さないと、人を殺し続けているというこの状況に押し潰されてしまいそうだったから。


光の中、手下達の血を浴びて真っ赤に染まった俺を見て、残った手下達が躊躇し始めた。


「ば、化け物かよこいつ……」


「こんなやつ、俺達で殺れるかよ!に、逃げようぜ!」


一人、二人と戦闘を放棄して、この場を離れ始めた。
< 326 / 845 >

この作品をシェア

pagetop