殺戮都市
人が生き返るなんて半信半疑。


俺がこうして生きているから半分信じているだけだ。


「広崎明美さんかな?彼女なら今は外にいるよ。僕らの仲間がこの街の事を教えているはずさ。でも、ヤクザは見なかったな」


俺の前に腰を下ろし、親切に説明してくれる。


良かった……明美さんは生き返ったんだ。


でも、どうして鬼頭竜二はいないんだ?


同じ状況で殺されたのに、俺と明美さんだけ生き返るなんて。


「キミは……初回のガチャで星5のレアを引いたんだね。生き返ったと言う事は、欲に溺れない性格って事だ」


俺の手に握られている日本刀を指差して、男性は微笑んだ。


どういう意味だ?


分からない事が多過ぎて、何から聞けば良いか分からない。


「あ、あの……これって夢か幻覚なんじゃないんですか?おかしなでっかい塔があったし、皮がない怪物もいた……現実じゃないですよね?」


まずはそこからだ。


この人は俺よりもこの現象について詳しいみたいだし、色々と教えてくれるかもしれない。


「そうだね……まあ、外で話そうか。実際に見た方が早いからね」


そう言って男性は、部屋の入り口を指差した。
< 33 / 845 >

この作品をシェア

pagetop