殺戮都市
他の怪物が襲って来ないこの状況はありがたい。


目の前の強大な敵に集中出来るんだから。


こいつは、俺を一撃で仕留めようなんて考えていないだろう。


槍で攻撃して、盾を構えて体当たり。


俺が疲労するのを待って、最後に殺すつもりか。


ジッと怪物を見詰めて、一瞬の動きも見逃さないように集中する。


すると、怪物の前脚が深く沈んだ。


攻撃に転じるつもりなのだろう。


などと考えている一瞬の隙を突いて、怪物が俺に飛び掛かった。


速い!!


横に飛び退く体勢が整っていないから、良くても体当たりの直撃を喰らってしまう!


迷ってる暇なんてない!


どっちに避けるか、反射的に動いた身体に任せて、俺は盾を持っている怪物の左側に飛んでいた。


槍の直撃はない。


だけど、すれ違った怪物の目は俺をジッと見ていて……。


次の瞬間、横に払われるようにして盾が俺の身体に打ち付けられたのだ。


全体重が乗っているわけではないけど、太い腕から繰り出された一撃は重かった。


再び地面を転がり、何とか立ち上がった俺は……。













怪物に背を向けて、東軍の街に向かって走り出した。
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