殺戮都市
身体を支えている四本の脚のうち、どれか一つで良い。


だけど、俺の攻撃を簡単に回避するのもその脚で、普通に攻撃したのでは当たらない事は目に見えている。


いつかやった武器を持ち替える騙しも、他の武器を全部強化に使ってしまったから出来ない。


日本刀一本で、上手く騙しが出来るのか。


喉の渇きを潤す為に唾を飲み込んで、俺は日本刀を左手で握り締めた。


負傷した腕が痛む。


握る力もないくらいに。


だけど、殆ど重さを感じない日本刀が助けてくれているようで。


その先端を怪物に向けて、飛び込むタイミングを探していた。


こちらに向かって歩いて来る。


まだ飛び掛かろうとはしていないけど、この距離では俺の攻撃も当たらない。


仮想葉山……にしてはパワフルに攻めて来て、隙が全くない。


まさかこんな怪物に出会うなんて想定外だったけど、いずれこいつにも勝たなければバベルの塔には辿り着けないんだ。


今は逃げる為に戦う事しか出来ないけど……。


さらに迫る怪物。


先程と同じように前脚が沈む。


やるなら今しかない!


飛び掛かられる前に駆け寄り、怪物に飛び込んだ俺は、左手で握った日本刀を振り下ろした。
< 342 / 845 >

この作品をシェア

pagetop